2025.10.06
Ki No Bi:セラミックタイルが「木」になるための条件

コンセプト:

調和のとれた自然と時間の循環の中で季節の移り変わりがもたらすめぐみ。それが「KI NO BI」の原点です。太古から広大で再生能力の高い豊かな森林の恩恵を受けてきた日本。建築・家具・食器・装飾品と汎用性高く利用できる木材は、今も残る寺社仏閣・木漆工芸・組子等の伝統工芸と歴史や文化に様々な恩恵を与えてくれています。自然の再生と消費スピードのバランスが取れた幸福な時代。その調和を現代のセラミック産業の文脈で語る時、「木」を表現することは同時に「持続可能性」に責任を持つことを意味します。

  

「Ki No Bi」は、持続可能性と社会全体に配慮したウェルビーイングを代弁します。繊細な木目調のニュアンスは、組み合わされる他素材と調和し、薄さと軽さがもたらす汎用性によって建築・インテリア空間全体に、「私たちの住む自然世界」を描き出すことを可能にします。タイル本体は、粘土・長石・石英・砂等の100%天然原料、自然の原料がラミナムの技術により自然の美しさと自然を超越する機能性を持ってセラミックタイルとして生まれ変わります。ラミナムのセラミックタイルは全ての製品が20-60%のリサイクル原料を含みます。製品に占める天然原料比率が93%のラミナムは採用された建築の解体やプロダクトの廃棄時にも環境負荷の低い素材と言えます。

Ki no Bi : 季の美/木の美/気の美

Ki No Biコレクションは、日本人になじみ深いENOKI(榎)・KURI(栗)・SUGI(杉)、熱帯・亜熱帯地域を原産とするACAI(アサイー)の4種の木からインスピレーションを受けています。僅か2.2mmのタイル本体厚に施された凹凸の立体構造は、指先に、まるで木の肌に触れたような体験を提供します。「KI」は季節の恵みや移ろう景観がもたらす「季」の美しさ、人の営みと合わさった木材としての「木」の美しさ、崇拝・畏怖・癒しを与える精神的な力を持つ対象としての「気」の美しさを表します。

  

機能性/用途:

タイルは壁紙の領域へ。僅か2.6mm厚のセラミックタイルはインテリアの壁面にシートでは表現できない高い質感と真正性(本物であること)をご提供します。twO by LAMINAMのコレクションは天然石・木材・漆喰の質感を持ち、壁面・ドア、キッチン・家具の引き出し・棚等のインテリア空間の垂直面に幅広くご採用頂けます。1000*3000サイズの大判は引きの視点では継ぎ目の少ないミニマルな印象を与えると同時に、近づき・触れる「人と親密な距離」にも耐え得る、精彩な美観と深みのある質感を持っています。一般的なシート材を上回る高い耐キズ性、耐UV変色性に加え、高い耐薬品性、耐汚性、水分をほとんど浸み込まない特性はメンテナンスを容易にし、食品衛生認証を取得している高い衛生性を発揮します。火災時に燃焼・有毒ガスが発生しない特性も居住者の安心・安全を確保する上で他素材と比較検討して頂きたいポイントです。

コスト:

裏面補強のグラスファイバーを施したtwo by LAMINAMの厚みは2.6mm、重量は5.1kg/㎡(公称値)と大判タイルでは世界最薄・最軽量の製品です(特許出願中)。この特性は、既存の壁面の上からタイルを直接施工するオンタイル工法で高いメリットを発揮します。壁面厚に加わるのは2.6mm+ボンド厚のみ、重量負荷も5.1kg/㎡と軽量です。既存壁を取り壊しで新たに施工する場合、既存壁の斫り工事・粉塵対策・水洗い作業・既存壁材回収/搬出・下地再処理作業といった、資材/作業代・人件費が発生します。大判タイルのコストが他素材よりも高額としても、トータルのコストメリットが見込めます。また駅・商業施設・公共施設といった工期が短い改修案件の工期短縮にも貢献します。

画像をクリックすると、「ホテル関連」「駅・公共施設」「商業施設」のラミナム採用事例がご覧いただけます。

   

持続可能性のためのブランド「 twO by LAMINAM 」

twO by LAMINAMに加わった「Ki No bi」コレクションは、「責任ある美の追求」をタイル製品として表現する試みです。世界に類を見ない革新的な2mm厚の薄さと㎡あたり5.1kgの軽量さは環境負荷を軽減し、調和のとれた地球環境を尊重します。

   

「本物の持続可能性」を支える革新的製造技術

製造設備メーカーを前身とするLAMINAMの技術研究と先進的な応用技術が、再びイノベーションを実現しました。「twO by Laminam」は、建築とインテリアデザインの分野における、持続可能性・技術革新の基準を大きく高めます。1000X3000mmの大判サイズでありながら、大判タイルとして世界最薄2.2mm厚を実現したセラミックタイルは、LAMINAMブランドのこれまでの商品特性・機能を維持しながら、㎡あたり重量5.1kgの軽量さを兼ね備えます。

【twO by LAMINAM 大判セラミックタイル仕様】サイズ:1000×3000mm タイル本体厚:2.2mm(タイル裏面ファイバー付厚み2.6mm) 重量:5.1kg/㎡(安全性・加工性を高める目的でタイル裏面に補強されたグラスファイバーの重量を含みます。)

 

twO by LAMINAM:持続可能性のあるプロジェクト提案に説得力を

タイル産業は「製品に占めるエネルギー項目が最終生産コストの20%近くを占める」エネルギー集約型産業です。これまでそのエネルギー消費の約70%が天然ガスによって賄われてきました。イタリアに本社・工場を持つラミナムは欧州委員会の温室効果ガス削減目標(2050年までにCO2排出量を1990年代比で87%削減)に適うイタリア国内法に従い削減の取り組みを進めています。この目標はタイルの薄型化による焼成時間の短縮や熱処理工程の50%以上を電気へ切り替えることで達成可能とされています。

ラミナムが2024年に製品化した世界最薄の大判セラミックタイルの新ブランド「 twO by LAMINAM 」は、「タイルの薄型化」と「自社太陽光発電によるタイル焼成」を組み合わせた持続可能性のための実行力のあるアクションを伴います。

twO by LAMINAMの温室効果ガス排出削減への貢献

現在も業界の主流となっている100%ガスによる焼成窯は、温室効果ガス排出量削減の観点から課題となっています。ラミナムは4つのタイル焼成窯の内3つを電気・ガスのハイブリット焼成窯へ切り替えています。これにより焼成工程の75%が電気により行われ、ガス消費量が約70%が削減されました。また2021年より導入した自社太陽光発電設備の継続的な増設により2024年までに太陽光発電の最大出力は2Mwpとなり、生産ピーク時における電気焼成に必要となる電力と同程度に達しました。気象条件と生産のタイミングが整った場合、電気焼成を100%太陽光発電により賄うことが可能となっています。

温室効果ガス排出を削減するもう一つの方向性は「タイルの薄型化」です。ラミナムはtwO by LAMINAMの独自製造技術(特許申請中)により、1000X3000mmの大判サイズのタイルを僅か2.2mmの本体厚で製造することを実現しました。2.2mm厚タイルの焼成時間は、20mm厚の約1/10、5mm厚の1/2※の時間で焼成が完了します。焼成時間の短縮は、ガス焼成による温室効果ガス排出削減に直結します。

※焼成時間の比較は当社製品によるものです。