2024.02.11
“Condividere è uno stile di vita” 「シェアすること」は生き方だ。

価値観を代弁する文化的要素としての表層材

「イタリア南部では、食事をする時テーブルに並んだ大皿から全員が自分の分を「切り出す」のが一般的です 。分かち合うことは生き方であり、ライフスタイルです。食べることはただ空腹を満たすだけではなく、一緒にいて話したり、物語や逸話を語ることを意味します。」
 ーピッポ・チカレリ氏(レストランオーナー)ー

地中海の宝石と言われるカンパニア州ナポリ。活気あふれる港町として知られるこの街には、もう一つの顔があります。それは、太陽の光を浴びて輝くレモンの産地であること。ナポリとレモンの関係は深く、歴史、文化、そして食卓にまで深く根付いています。ミラノにありながら”本物の”イタリア南部カンパニア料理を提供するジジーノ・ピッツァ・ア・メトロの内装にはレモンの樹があしらわれています。ソレントの庭園のような店内とPizza a Metro(メトロ=地下鉄の線路になぞらえられる1メートルを超えるナポリ発祥のピザ)は「集い分かち合う」南部の食文化を伝えるピッツェリアのルーツを象徴しています。

コロナ禍で生まれた”室内に開放的な屋外の庭園を再現する”というコンセプト

「人間に必要なことは自重しただ生存することではなく、意味のある生(life)、尊厳のある生を送ることである」2020年2月イタリアの哲学者ジョルジオ・アガンベンはその物議を醸したコロナ禍に対する発言で、ロックダウンをはじめとする様々な例外状況の強制によって奪われる人間的尊厳について警鐘を鳴らしました。それは不要不急の用と言われるような、生存において必ずしも必要のないと思われるものこそが重要であると言う主張でした。
レストラン、ジジーノ・ピツッア・ア・メトロは、「外に出て・集まり・シェアする」と言う価値観が不要不急とされ飲食業活動が制限されたコロナ・パンデミックの最中に誕生しました。オーナーのコロナ禍であっても失われなかった「一緒にいることの喜びをゲストと分かち合いたい」という強い想いは「想像し・語り合い・取り分けるカンパニア料理」と「人が集う・開放的な空間」として表現され、レストランの存在は”社会実験”であると評されました。

「つい最近まで、私たちは閉ざされた空間をどれほど恐れていたでしょうか。私はレストラン内装をレモンの樹と空色の壁で覆い、野外で使用される青い金属製の椅子を敢えて採用しました。カンパニアのルーツであるアマルフィ海岸と私の故郷のレモン畑を思い起こさせる庭園がコンセプトです。」

価値観を代弁する文化的要素としてのLAMINAM

壁面に採用されたLAMINAMのFLUID SOLIDシリーズ・BLUE LUCIDATO(日本品番:FS-1)は、生命が溢れる原始の海と地上の強固な岩盤の融合をコンセプトとしています。青色顔料が練り込まれたタイル内部は表層の「青」に深遠な深みを与えています。店内の天井に張り巡らされた無数の小さなライトは、BLUE LUCIDATOの鏡面に写り込みます。それはピッポ氏の「夜空に光る星々の下の開放的な庭園」と言う内装コンセプトを支えています。

ラミナムのLUCIDATO(ルチダート:イタリア語で磨きの意味)仕上げは、鏡面のように磨き上げられた表層を持ち、透き通った湖面のような多層的で深みのある光の反射を生み出します。それは内側の原料や色味を反映しながら外界の景色をその表層にクリアに閉じ込めます。周辺環境を拡大し変化させるその視覚効果は、空間に存在する色や形状を鏡像化し表層に奥行を与えます。光を反射する磨き仕上げの特徴は印象的な照明との組み合わせでさらに魅力的なものとなります。光と影はコントラストとダイナミズムを生み出し、その空間でしか生まれない組み合わせは独自のデザイン表現を可能にします。

床面にはイタリアの伝統石材ピアゼンティーナに着想を得たIN-SIDEシリーズ、Pietra Piasentina Grigio Fiammato(日本品番:IS-3)が採用されています。馴染みある歴史的石材の表層は”野外”であることを演出するだけでなく、金属製の椅子の日々の使用に耐え得る高い耐傷性・耐衝撃性を発揮します。食品や液体が残留しやすい傷が生まれにくい表層と非常に低い吸水率は、レストランに求められる高い衛生性とメンテナンス性を満たします(LAMINAMはMOCA(欧州)・NSF(米国)と呼ばれる2つの国際的食品衛生認証を取得しています。)