2024.09.15
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野心的な挑戦が生む、唯一無二の設計デザイン

ICC INTERNATIONAL CONVENTION CENTER / DARLING HARBOUR, SYDNEY
設計:HASSELL+POPULOUS

「シドニーのダーリング・ハーバーに位置するライブ・インターナショナル・コンベンションセンターは、HASSELL+POPULOUSによる野心的な共同設計により誕生しました。この複合施設を含む再開発は、ダーリング・ハーバー地区に新たな活気を吹き込み、オペラハウスに並ぶ街のランドマークとなりました。

本施設の最大の特徴は、大開口の窓と、虹色に輝くファサードです。このファサードには、厚さ5mm、1000×1850mmサイズにカットされたLAMINAMセラミックタイルが採用されました。

このプロジェクトで採用されたラミナムセラミックタイルの施工方法は、非常に革新的でした。乾式ファサードには、クリップによる機械的な固定と構造シリコン接着を組み合わせたハイブリッドシステムが採用されています。セラミックタイルは、オフセットブラケットを用いて機械的に固定され、隣り合うスラブと重なり合うように配置されています。さらに、構造シリコン接着材は壁への接着を強化しています。

この施工方法により、ラミナムセラミックタイルは、建物の外壁に立体的な表情を与え、建物の軽量化にも貢献しています。ラミナムセラミックスラブの優れた柔軟性と軽量性は、建築設計の可能性を広げる新しい素材として注目されています。

本施設では、ファサードだけでなく、建物内部にもラミナムセラミックスラブが使用されています。乾式の天井構造の一部にラミナムセラミックタイルが採用され、建物内部から外部へと連続するようなデザインが実現されています。

■文化的要素としての建築表層材

コンベンションセンターの印象的な「白」は、この湾の地名から着想を得ています。この地は古く先住民のものでした。食用のザル貝が多く採れるこの湾には多くの貝塚が存在し、後に入植したヨーロッパ人によりコックル(ザル貝)湾と呼ばれます。貝殻の内側、「真珠のような光沢を放つ白色」が、外装デザインのコンセプトとなっています。
外装に採用されたOXIDE(オキサイド)シリーズのBIANCO(イタリア語:白)は、釉薬により光を反射し、その表情は周囲の光環境の変化により様々に変化します。金属が錆び行く過程で刹那的に見せる輝きの美しさを表層に閉じ込めたセラミックタイルは、その外装デザインの美しさを高い耐候性・耐久性により守ります.

■OXIDE(オキサイド) 金属が錆び行く過程で魅せる刹那的な美しさ

自然から生まれた素材が経年変化のなかで刹那的に生み出し、時に人知れず失われていく美しさ。
その素材の「生涯で最も美しい瞬間を結晶化し永遠に保つ」という時間への挑戦をコンセプトにOXIDE(英語:酸化物)シリーズは生まれました。金属の酸化プロセスと美的変化の研究は、金属表層に発生する「積み重ねられた年月を雄弁に語る非常に強く豊かな色合いが生成される瞬間」を捉えます。OSSIDOシリーズと対をなすOXIDEは、より金属の輝きが強調されます。タイル表面に配置された金属調の顔料と釉薬による立体的なテクスチャーは光に呼応し輝きを放ちます。
アイボリー、ホワイト、ブラウン、ブラック、パールの5色のバリエーションは光の演出と合わさり多様な空間表現を可能にします。

■完成された美しさを経年劣化から守る磁器質セラミックタイルの特性

LAMINAMの大判セラミックタイルは高い耐衝撃性・耐傷性(モース硬度6以上)、耐熱性、風雨・凍害・紫外線等への耐候性により、外壁の美しさを経年変化から守ります。 LAMINAMセラミックタイルは15,000トンの圧力で真空状態になった原料を1250度の高温で焼成し製造されます。この工程は原料に高い密閉気孔率(吸水率0.1%以下)と化学的にそれ以上変化しない不活性の性質を与えます。この特性により、タイル表面に堆積した雨水・空気中のホコリ・泥等がタイル内部に侵入することはなく、薬品の付着等による化学的変化も発生させません。高い耐汚性・耐薬品性はタイル自体にシミや変色が発生することを防ぎ、外壁の美しさを長期的に守ります。