2026.02.06
独創性と伝統が息づく空間:旧スペイン王族邸リノベーション

バルセロナ:重層する歴史と現代建築の実験場

バルセロナの建築的景観を語る際、アントニ・ガウディが心血を注いだサグラダ・ファミリアに代表される「カタルーニャ・モダニズモ」の有機的造形は、あくまでこの街の一側面に過ぎません。バルセロナの本質的な魅力は、中世から続く歴史的断層と、19世紀にイルデフォンソ・セルダが提唱した都市計画「エシャンプレ(拡張街区)」が織りなす合理的なグリッド構造の上に、各時代の最先端の建築思想が重層的に積み重なっている点にあります。バルセロナは、中世の石造の肌理(テクスチャ)から、セルダのグリッド、そして現代のハイテク建築やパラメトリックな手法までが、一つの都市基盤の上で見事に共存する、世界でも類を見ない「建築の生きたカタログ」です。伝統を尊重しながらも、常に新しい空間言語を受け入れてきたこの街は、設計者にとって尽きることのないインスピレーションの源泉であり続けています。

歴史的価値と機能性

バルセロナ中心部にある歴史的建物の一室「Paseo San Juan Apartment」は、街の豊かな伝統を現代的な感性で再解釈した、魅力あふれる住まいです。改修プロジェクトは、オーストラリア出身のオーナー夫妻の「歴史的価値を守りながら、現代の快適さを取り入れたい」という想いが形にされました。

アパートメントがあるのは、バルセロナの大通り「パセイ・ダ・サン・ジョアン」に面した王族の旧邸宅。YLAB Arquitectosが手がけたこの建物は文化財として保護されています。19世紀後半から20世紀初頭にかけてスペインのバレンシア地方で製造された、高品質な幾何学模様の磁器質タイル、「ノラモザイク」の床や装飾天井など、歴史的な意匠を残しつつ、現代のライフスタイルに合った設備が加わります。間取りは玄関ホールを中心に、ゲスト用の共有スペースと、プライベートな居住スペースに分けられ、それぞれの空間がオーナーの希望に合わせて再構築されました。デザインの鍵となったのは、部屋ごとに異なるモザイク床の色彩。壁は床の色に合わせて塗装され、家具も同系色のセミサテン仕上げで統一されています。濃いブラウンの幅木や木製建具が空間全体をつなぎ、最も小さな部屋にまでその意匠が行き渡ります。さらに、洗練された照明と反射素材の組み合わせにより、どの空間も光に満ちた魅力的なインテリアへと生まれ変わりました。

細部に宿る美意識

キッチンやバスルームの仕上げには、細部にまでこだわりが感じられます。空間の質感を左右する重要な要素として、「イ ナトゥラリ」シリーズのコレクション「カラカッタ ミケランジェロ(発注品番:IN-58)」が採用されました。キッチンの天板とバックパネル、洗面台、シャワーブースに至るまで、ライトグレーからトープの繊細な石脈の表現は、気品ある佇まいを空間にもたらします。天然大理石のような深みをもつラミナムのカラカッタ ミケランジェロは、床材や壁材、キッチンワークトップ、洗面カウンターなど、インテリアのさまざまなシーンで幅広くお選びいただいているコレクションです。その表層の光を抑えた滑らかな質感が、指先に心地よい柔らかさをもたらします。

機能性と美しさの融合

Laminamのタイルは、優れた耐久性とメンテナンス性を兼ね備えています。表面は傷や汚れに強く、清掃も容易。食品との接触にも安全で、カビや菌の繁殖を防ぎます。水や湿気への高い耐性により、キッチンやバスルームなど水回りの空間にも安心してご使用いただけます。

ラミナム機能性一覧

伝統と現代が調和する空間

Paseo San Juan Apartmentでは、Laminamの大判セラミックタイルの中でもイタリアを中心とする伝統石材にインスピレーションを受けた「イ ナトゥラリ」シリーズが空間の印象を決定づける要素として機能しています。既存の建築的特徴を尊重しながら、細部まで丁寧にデザインされた現代的なインテリアが、落ち着きのある洗練された住まいを実現しました。採石場から切り出したような3メートル超の1枚物の大判セラミックタイルの魅力をラミナムジャパン東京・大阪・名古屋ショールームでご体感ください。

伝統と革新のクロスオーバー:Ylabが贈るリノベーションの新たな形

2023年のBarcelona Design Week。歴史的な街並みが残るバルセロナで、建築スタジオYlabが主催するイベント「Latest」が開催されました。そこで初公開された、Paseo San Juan Apartmentは、古い建築の記憶を継承しつつ、現代的な感性で再構築された革新的な住宅リノベーション・プロジェクトとして評価されました。リノベーションによって生まれた開放的な空間には、Ylabの哲学に共鳴する著名なデザインブランドやアートギャラリーが全面協力。各部屋は、厳選された家具やアート作品によって設えられました。

このプロジェクトは、単なる内装の改修に留まらず、建築の構造的価値を再発見し、都市の居住空間をアップデートする試みとして大きな反響を呼びました。

所在地:バルセロナ(スペイン)
竣工年:2023年
設計スタジオWEBSITE:YLAB Architects(YLABアーキテクツ)
使用用途:壁・床面表層材、キッチン・サニタリー・浴室
プロジェクトタイプ:個人住宅
クレジット
写真:Santiago Garcés e YLAB Arquitectos