大切な住まいの外壁リフォーム。オーナー様の5種類の選択肢。
ご自宅の外壁は、住まいの印象を大きく左右する「顔」であると同時に、雨風や紫外線から大切な家を守る、非常に重要な役割を担っています。適切な時期に外壁リフォームを行うことは、建物の健康を保ち、雨漏りや内部の劣化を防ぐ上で欠かせません。また、住まいの寿命を延ばし、将来的な修繕費用を抑え、さらには不動産としての価値を維持・向上させることにもつながります。外壁リフォームの費用は20万円から300万円以上と幅広く、その内容は単なる外観の修繕にとどまらない、住宅の耐久性や長期的な価値に深く関わる大切な投資と考えることができます。
後編では、前編に引き続き外壁リフォームの建材の特徴とお伝えします。
4.一般的なタイル



タイルは、粘土や陶土、石英などを高温で焼き固めて作られる外壁材です。その特性から、非常に高い耐久性と高級感を兼ね備えています。粘土などを焼成しているため、非常に硬質で、水や火に強い特性を持ちます 。マンションなどで良く使用される45二丁(45×95mm)、外壁で一般的な二丁掛(60×108mm)、床タイルでは100×100mm、600×600mm角などがあります。
【 メリット 】
・高い耐久性と長寿命は外壁材の中でもトップレベルです。吸水率が非常に低く水が侵食する心配はほとんどなく、水分の凍結・膨張による破損リスクも少ないと言えます。
・高温で焼き固められているため火に強く防火性に優れてます。
・汚れが付着しても浸み込まず、雨水で自然と流れるセルフクリーニング効果が期待できます。
・耐用年数は30~50年と長く、塗装のような数年ごとの塗り替えやサイディングのような目地のシーリング補修といった大規模なメンテナンスがほとんど不要なため長期的なメンテナンスコストの削減が期待できます。
・タイルは土や石からできた自然素材のため環境負荷の低いエコ素材と言えます。
【 デメリット 】
・初期費用が他の外壁材に比べて高額になる傾向があります。タイル本体の費用に加え施工に必要なタイル下地の費用や高所作業に伴う足場設置費用が発生します。
・一般的なタイル300mm角程度のサイズが多く、1㎡あたり約20~30kgと他の外壁材より重い傾向にあります。施工された建物への重量負担が大きく地震発生時の横揺れの負荷を大きくする可能性が指摘されています。
・タイル重量に対して接着力が弱い場合、剥落の可能性があります。
5.大判セラミックタイル




大判セラミックタイルは、ここではタイル1枚の大きさが3メートルを超えるようなタイルを指します。1000×3000mm、1620×3240mmとメーカーによりサイズ規格が異なります。一般的なタイルの厚みが7~15mmであるのに対し大判セラミックタイルは2mm/3mm/5mmと薄く軽量なものがあります。
セラミックタイルの特徴である高耐久性・耐候性・自浄効果・低吸水率により耐用年数は30~50年と言われます。
【 メリット 】
・高いデザイン性。最新のプリント技術により、天然石、木目調、メタル調など幅広いデザインが可能で、磨きや粗面、凹凸も忠実に再現し、天然石と見分けがつかないほどの高い質感を表現します 。
・圧倒的なデザイン性とシームレスな美観: 継ぎ目の少ない大板で、住宅の外壁に圧倒的な迫力と洗練された空間を創り出し、デザインの自由度を飛躍的に高めます 。
・耐UV性が高く日光による色あせや変色が長期的にみてもほとんど発生しません。
・優れた耐久性とメンテナンスの手間を大幅に削減: 表面硬度が高く、引っ掻き傷がつきにくい優れた耐久性を持ち 、吸水率が極めて低いため汚れが染み込みにくく、日常のお手入れが非常に簡単です 。長寿命(30~50年)で、定期的な大規模メンテナンスがほとんど不要です 。
・国交通省が定める法定不燃材で火災・熱による燃焼が発生しません。
・タイル本体は粘土・長石・砂などの100%リサイクル可能な天然原料です。樹脂や化学物質を含む建材のような熱による有毒ガスの発生の心配はありません。
・薄く・軽いため加工性や施工性が良く、既存外壁の上に重ね貼りする「カバー工法」に最適で工期短縮・人件費削減によるコストメリットが期待できます。
・3mm厚では㎡あたり8.2kg(一般タイルでは20~30kg)と軽量で建物への重量負担が少なく、地震時の揺れによる建物への負担軽減という意味で耐震性に優れていると言えます。
【 デメリット 】
・初期費用が他の外壁材に比べて高額になる傾向があります。タイル本体の費用に加え施工に必要なタイル下地の費用や高所作業に伴う足場設置費用が発生します。
■外壁材の初期費用と総費用の関係性
外壁材の評価はオーナー様が初期費用を重視するのか、長期的な視点で考えるのかにより異なります。例えば、タイルは1㎡あたり9,000円からと、窯業系サイディング(3,400円から)やモルタル(4,000円から)と比較して初期費用が高めです 。しかし、その耐用年数は30年から50年と、他のサイディングや塗装(3年から20年)よりも圧倒的に長期間にわたって使用できる特性があります 。

塗装の場合、1回あたりの費用は比較的安価に感じられますが、30年の間に2回から3回の塗り替えが必要となり、そのトータルコストは200万円後半にも達する場合もあります。これに対し、タイルは初期投資が高いという側面があるものの、その優れた耐用年数とメンテナンスの手間が少ない特徴から30年、50年といった長期スパンで見た場合の「総費用(ライフサイクルコスト)」は、初期費用が安価な他の外壁材よりも結果的に低くなる可能性があります。タイルは「初期投資型」の素材であり、その後の「維持費」が極めて低いという、見落とされがちな経済的なメリットを持っています。
参照【一般社団法人全国タイル業協会/全国タイル工業組合】https://www.tile-net.com/faq/:2025年6月26日アクセス